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生産計画がうまくいかない理由④
みなさん、こんにちは。

生産計画がうまく機能しない原因の第4回目です。
今回はこれまでに考察してきました問題に対する打ち手を考えてみたいと思います。

皆さんは、「業務の一貫化」「整流化」「同期化」というコトバを聞いたりご自分自身で使っているでしょうか。
自社や自社を取り巻くサプライチェーンが同期を取らずバラバラに運営されていては人、モノ、情報などが滞留してしまいますね。これも前回説明しました「サバ読み」に繫がるのです。
しかしここで注意しなければならない点があります。製造ラインについてです。
「ラインバランス」というコトバも皆さんご存じですよね。これは全工程の能力バランスを追求し、各工程の能力を均一にすることが工場の最適化につながるという発想です。しかし今日の様に取り扱う製品が多くなり、製品の複雑化により工程も増えてしまい、しかも混流生産を行っている状況で、ラインバランを実現することは極めて困難と言えます。さらに大ロットでまとめ生産しようとすれば、工程能力の差は顕著になります。

普通に考えればわかると思うのですが、人も10人いれば10人それぞれに得意/不得意な分野がありますよね。それに5歳程度の子供を、100mを9秒で走れといくら特訓してもムリではないでしょうか。ただ、だから何もしなくても良いと言っている訳ではありません。従来からあるリードタイム短縮や工程の不具合の改善などは日々努力しなければいけないことです。ただラインバランスを行うことは大変困難なことであり、それに終始していてはいつまでたっても根本的な問題は解決しないと指摘している点、ご留意下さい。

ではどうすればよいのでしょうか。
まず「ボトルネック」を明確化するため、「ボトルネック工程」と「非ボトルネック工程」に分けます。
そのためには、各工程が保有する生産能力を把握していなければなりません。
ある企業で事業改革と基幹システムの導入を支援させて頂きましたが、この際に工程能力をまったく把握しておらず、大変苦労した経験があります。実態の収集から始めたのですが、とにかく対象となるラインと工程が多く、実績を計測するにしても、1工程当たりの所要時間が日をまたぐ事もあり、実績収集に多大な負荷がかかった上に、バラツキも大きかったからです。日頃から必要な基準情報はきちんと把握しておかなければなりません。

また、ボトルネック工程は1ライン上に1つとは限りません。動くこともあります。負荷が常に80%を超えている工程はバッファーを必要としてる場合が多く、ボトルネック工程といえます。この点も十分に注意しなければなりません。
次ぎに各工程の生産能力の考え方ですが、以下の様に区別します。
 1.生産的能力
 2.保護能力
 3.余剰能力

1.生産的能力  
実際に生産するために必要となる能力をいいます。
2.保護能力 
これは非ボトルネック工程が持つべき能力で、製造過程上で何か問題があってもボトルネック工程と出荷作業を守り全体としての遅延を押さえ込むための余裕です。製造ライン上でバッファーを持つ場合にこのバッファーと密接な関係を持ちます。バッファーを大きくとれば、保護能力は低く設定することができます。しかしこうすれば、トータルのリードタイムは長くなってしまいます。何故なら、バッファーで仕掛が長時間滞留するからです。反対にバッファーを小さくすれば、保護能力は多めに設定しなければなりませんが、この場合は工程の生産能力は低くなってしまいます。保有しているけれども稼働していない時間が増えてしまい、工程単位の生産効率は低く見えてしまい、部分最適を追求するQC活動では改善したいという気持ちに傾きます。
3.余剰能力
計画外でやむを得ず生産しなければならない特急オーダーなどに対応するために保有しておく能力です。ただし、これを大きくとって常に稼働している状態にしてしまうと、生産的能力が奪われ、本来計画的に生産すべき製品の納期が遵守できなくなります。こういう管理を行っている企業では、特急オーダーが正当化されている場合が多々あります。生販の取り決めを遵守する仕組みを別途構築しなければなりません。

生産の全体の仕組みは、非ボトルネック工程をフル稼働させない様に注意しなければなりません。ボトルネック工程をフル稼働させ、非ボトルネック工程はこれに同期させる生産を行います。またボトルネック工程の手前にバッファーとして計画在庫を設置します。何か問題があってもボトルネック工程がフル稼働しキャッシュフローを最大化させるためのバッファーとなります。また初工程の材料投入のタイミングはボトルネック工程の生産スピードに合わせなければなりません。そうししないとバッファー以外の工程で仕掛滞留が起きてしまいます。在庫はあくまでもボトルネック工程の前のみというところが全体の生産システムのポイントとなります。

ところで「生産のタイミングと生産量」はどのように決めればよいのでしょうか。「生産の確定期間に入り、オーダー指図基準に達したタイミングに決まっているじゃないか」「生産量は顧客の注文数量が基本に決まっているじゃないか」と考えていらっしゃいますか?教科書通りに回答すればこの通りですね。
しかし、顧客から入った期間内の注文というのは実はその期間内にまとめられている場合がほとんどです。例えば今月中に製品aを1,00個という注文の場合、今月中に1,000個使用されるか否かといえば非常に疑わしいものです。「サバ読み」をして納期も数量も安全サイドに振れている可能性があるということです。また本当に顧客が必要とするタイミングは日次/週次のはずですが、月次でまとめられてしまっています。
ですから、「作っても売れない」「売れないのに優先的に作って生産計画を乱す」「結果としてキャッシュフローが悪化する」ということになってしまうのです。

つまり
「顧客の消費するタイミングで、消費する数量分だけ、小ロットで、生産・供給する」ことができれば、リードタイムは短縮できますし、生産計画の乱れも減り、在庫も低減できます。これは重要な着眼点です。そのためには顧客からより詳細な消費情報を入手する必要があります。ITが高度に発展した今日、実現可能な業務要件ではないでしょうか。お互いに大きなメリットも享受できます。

補足になりますが、そもそも顧客自身もQCDについて問題を抱えているものです。ですから当社に対する特急のオーダーが発生したり、「サバ読み」が発生するのです。また、当社がこれに悩んでいるということは競合他社も同様の悩みを抱えていることがほとんどです。ここで優位に立つためにも顧客とのwin-winの関係を構築することは極めて重要となります。

在庫補充型で製品を供給している場合、在庫拠点が点在しているのも改善の必要があります。在庫が過剰化している企業では必ず欠品も多発しています。同時に発生するのです。在庫拠点が点在しているということは各拠点で在庫の過不足が発生しいることになります。
また、在庫拠点毎に需要が発生する場合も注意を要します。需要予測の単位を在庫拠点単位、あるいは販売拠点単位に個別に行うと、
 -A拠点は連続的な安定的な予測値となる
 -B拠点では変動の激しい連続的な予測値となる
 -C拠点では間欠的な予測値となる
ということが発生します。
この予測単位で生産計画を立案するのは大変なことです。予測の精度が低い上に顧客や営業部門の「サバ読み」が予測単位すべてに入っているからです。
結局不安定さを回避するためにまた過剰な在庫を積上げて対処しようとなってしまいます。
この場合は、在庫を一元管理し、在庫過不足を抑え込むと同時に需要予測をまとめて行います。つまり、「サバ読み」や不確実性を一箇所にまとめるということになるのです。でき得るかぎり、「サバ」は集中管理するというのがポイントです。

さて、「サバ読み」を低減し、ムダな在庫を積上げないためにはチェック機能が必要となります。単に在庫日数を計測してもあまり効果はありません。在庫はあくまでも月末締めした場合の結果を示しているに過ぎないのです。この場合、例えば製品が入庫されてから出荷されるまでの日数単位のオーダー件数と製品数量をチェックしてはどうでしょうか。このチェックを行うことにより、出荷されない不要な生産がどの製品や顧客で、どの程度行われているのか、実需(出荷日)と生産の日数乖離が何日程度あるのか、その日数がどこに集中しているのかなどが明らかになります。問題点が明確になれば対策のポイントもより具体的になるはずです。この場合はデータを分析、層別する能力が必要となります。ただし、目的が不明確なデータ分析は行ってはいけませんし、そのために莫大なIT投資をしてもいけません。この程度であればExcelで十分でしょう。

さて、4回にわたり展開してきました生産計画がうまくいかない理由ですが、いかがでしたでしょうか。
問題点を放置しておくとそれが企業の習慣となってしまいます。問題とわかっていても誰も打ち手を打たなくなってしまいます。結果として企業風土もサプライチェーンの仕組みも改善されず、問題点をモグラ叩きする日々となり職場の士気も低迷してしまいます。
いかに短期間に多くの問題を対処したかで評価されるというのも時には必要ですが、問題が多発しない仕組みを構築することに高い評価が与えられる制度が本来の評価だと思います。

「サバ読み」が常態化している企業のみなさん、目をつぶらず、他部門との協業から始めましょう。


みなさん、未来に向って叡智を出しましょう!!
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