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生産計画がうまくいかない理由①
みなさん、こんにちは。

生産管理システム(IT)を導入したのに、生産計画通りに工場がまわらない・・・
皆さんの会社でこのような事態は起きていないでしょうか。私は仕事でこのような企業を支援させて頂きますが、かなりの企業が計画通りの運用が出来ていません。結局、生産計画担当者は日々、計画変更に追われるという状況です。営業からは督促され、資材調達部門からは納期遅延が報告され、製造現場からは不良が報告され・・・これはかなりのストレスがかかります。そして計画担当者は円形脱毛にかかっていくのです(失礼!)。
では大きな原因は何なのでしょうか。原因は勿論、多岐に渡りますが、大きな問題をここに挙げてみましょう。今回はその1回目です。


1.遅延情報しか伝わらない

仕事というものは、そもそも遅れるものなのです。なぜ遅れるのか、それは必ず仕事の連鎖の中には1つ以上のボトルネックが存在するからです。この点について、私が支援企業で研修を行う場合、3~4人の方に前に出てきてもらいます。そして足を紐で結びます。そう、二人三脚ですね。そして研修室の端から端まで何秒で行けるか挑戦してもらいます。この時、女性がいれば女性にも必ず入ってもらいます。誰か1人でも二人三脚が得意でなければ、その人に歩調を合わせざるを得ません。しかしお構いなしでとにかく急ぎたい人がいると全員でこけてしまいますね。そう、ボトルネックがあれば、ここで遅延が起き、全体の調和を乱してしまうのです。
さらに、厄介なのは、作業が早く終ったことは次の作業には伝播しにくく、遅れのみが伝播する性質を持っています。
例えば、作業A、B、C、Dがあり、A、B、Cが並行して行われ、その後にDが行われるという工程編成(工程経路)があったとします。
 - Aは予定通りの時間で作業が完了した
 - Bは予定よりも早く作業が完了した
 - Cは予定よりも遅れて作業が完了した

とします。そうするとDはCが終ってようやく作業が開始できるのですが、Cが遅れたという情報は伝播されます。しかしBが予定よりも早く完了したという情報はどうも軽視されてしまうのです。
これに関しては皆さんもご経験があるのではないでしょうか。例えば納期遅延オーダーを一覧で検索したいとか、工程別の納期遵守率を検索したいというシステム化の要求を出したり、実際にこのような検索処理を行ったという経験です。しかし、予定よりも早く完了したオーダーを検索するという作業をやる人はまずいないと思います。
つまり、予定通り、あるいは予定よりも早い作業実績は無視して、遅延のみを素早く発見し、対策することが進捗管理の基本という思考や行動様式になっているわけです。

さて、上記のように、1つの作業毎に遅延が発生すると、サプライチェーン全体の遅延は相当な時間となってしまいます。結局川下の作業が大きな被害を被り、クローズアップされ、この作業の効率UPなどという変な対策が打たれていまうのです。どこの企業も、出荷作業がクローズアップされてしまい勝ちですね。
遅れしか伝播しないということは事前に手が打てないということであり、その後の打ち手は「挽回する」しかなくなります。しかし挽回すると言っても、
 -残業、休日出勤で挽回する
 -応援要員で挽回する
 -オーダーの優先順位を変える

程度ではないでしょうか。
もし仮に24時間フル操業の設備主体の作業工程だったらどうでしょうか。残業も休日出勤もまったく意味がありませんし、人の応援を頼んでも設備中心の工程ですから人手による能力向上もそれほど望めません。オーダーの優先順位を変えるということは繰り下げられたオーダーの遅延を発生させ、これを挽回するためにまた別のオーダーの繰り下げを行い遅延を発生させていきます。
しかし、早く完了した情報も併せて伝播する仕組みを構築すれば、事前の準備やもっと幅のある調整も可能となります。

2.計画上でリードタイムの余裕しか考慮していない

さて、ここからが更に大きな問題です。工場では慢性的な遅れを回避するためにどうするかと言うと「どうせ遅れるのだから出来るオーダーから投入しておこう」という意識になります。資材調達部門も多めに、納期前倒しで発注します。製造部門も不要なオーダーを指図します。こうして工程内は仕掛りの山、倉庫は在庫の山、結局は可視化出来ない状態となってしまいます。また仕掛りの山は滞留を生じさせ、リードタイムを延ばしてしまいます。道路の渋滞と同じですね。速く進みたいけれども前がつまっているから中々進めません。これがリードタイムが延びる原因です。結局、よかれと思ってした行為が悪循環を生んでしまうのです。しかしやはり、調達部門は資材がショートして怒られたくはないですし、計画部門も出荷が遅れて営業に怒鳴られたくはないものです。表層的な対策もわからないでもないのですが・・・

ボトルネックの話しに戻ります。作業を先行して「やれるものはどんどん」とやってしまうと、このボトルネック工程は更に悲鳴を上げてしまいます。日程管理で重要なことは、リードタイムに余裕を持たせるだけではダメだということです。そうですね、工程の能力にも余裕を持たせなければならないということです。

【日程管理の重要事項】
A.リードタイムに余裕を持たせる
B.工程能力に余裕を持たせる


つまり、ただでさえボトルネック工程はその能力に余裕がないのにどんどん作業を押し込んでしまえば、そこで大きな滞留が発生してしまうのです。
それでは、日程計画はどのように立案すべきでしょうか。この場合、先の二人三脚を思い出して下さい。得意な人や速い人にあわせて同期を取ろうとすれば失敗しこけてしまいます。ですから、ボトルネック工程の能力にサプライチェーン全体を同期させなければなりません。しかしこれだけではダメです。仮にボトルネック工程で何かのトラブルが発生してしまうと、後続の作業がやはり遅延することになりますね。ですから、ボトルネック工程の前にトラブルが発生しても後続作業に支障を来たさないようなバッファー、つまり時間的余裕が必要となります(具体的には仕掛り在庫になりますが)。このバッファーを。どの程度持てばよいかは企業毎に異なります。まずは経験値に基づいて設定すれば良いでしょう。

一番やってはいけないのが、とにかく改善だ、生産性向上だと闇雲に各工程(作業)の改善をバラバラに行うことです。これは部分最適に陥る典型的なケースとなってしまいます。QCサークルの発表会で各工程の改善を胸を張って発表するのはよいのですが、能力が最も高い工程を改善し、更に生産性を高めてしまい、これにボトルネック工程が追いつけていないばかりか、更に能力の差が大きくなってしまえば、遅れは改善前よりも深刻化してしまうのです。

また、「同期化」と聞いて全工程のリードタイムを均一にしようと改善に取組む企業があります。しかしこれは間違った改善です。残念ながらムダな努力に終ります。そもそも各工程が均一の能力を持って均一のスピードで作業すること自体があり得ないことなのです。そうではなくて、一番遅い工程に「同期化」させる努力が正しい改善の方向なのです。

さて、ボトルネックとは能力に問題がある場合もありますが、不良を大量に発生させるというのもボトルネックとなり得ます。ある企業でのことですが、全工程の不良率を集計してもらった事があります。この時、樹脂製品の蒸着メッキ工程だけが異常に不良が発生していることが判明しました。油分でどうもメッキがはがれてしまうというのが原因のようで、これが不良率全体の50%以上も占めていたのです。これには大変驚きました。案の定、蒸着メッキ工程以降は手戻りが発生するため、トータルリードタイムを延ばしていました。従って、単に生産能力の高低だけを見ていてはボトルネックは発見できません。
因みに、不良率の50%を占めるという現象を皆さんはどう捉えますか?
「えっ!? この原因で50%も不良が発生しているのか!」では素人ですよ。「この原因を取り除けば不良の半分は消滅させることができるんだ!」と考え至らなければなりません。

次回は計画がうまくいかない別の原因を考察します。


みなさん、未来に向って叡智を出しましょう!!
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海外工場と国内工場の関係
みなさん、こんにちは。

最近の円安傾向を背景に、輸出型の大企業が業績見通しを上方修正する動きが出ているようです。とは言え、日本企業の海外進出は依然として強まっています。
今回はこの海外展開と日本国内拠点の位置づけについて考えてみたいと思います。

日本企業の海外拠点_20130205

海外生産比率_20130205


表の通り、日本企業の海外進出はずっと増加傾向にあり、生産高比率も高くなっています。私がご支援させて頂いてきました企業においても海外生産高比率が60%超とか、100%海外生産というところもあります。

日本の製造業企業が海外へ進出する場合は主に生産拠点の展開が中心となります。もちろん、今日では現地のニーズに合わせて現地で製品の企画・開発を行う企業も増えてきてはいます。さてこの生産拠点の展開時に日本国内の生産拠点はどのような役割を担うことになるでしょうか。

1.技術移転 国内工場で開発された製品や生産ラインを海外工場に移転する役割
2.技術指導 海外工場で生産に関わる諸活動を円滑に実施していくための技術や技能の教育訓練を行う役割
3.トラブルシューティング 日々の業務で発生する問題に対して実際に現地に赴いたり、連絡対応等で対処する役割

このため、生産技術部門を中心に海外工場の立上げにあたります。海外工場の規模も小さく、取り扱い品目も少なく、かつ技術的にもそれほど高度でなければ、海外工場の立上げに要する負荷も高くはなりません。とは言え、何も知らない現地作業者へ1から教えることは大変な労力です。
以前は確かに、汎用品、廉価品は海外で、高付加価値品は国内でという棲み分けもありました。しかし海外のニーズが高度化してきており、競合が国内企業からグローバル化してくると、そうも言ってはいられなくなります。海外の拠点数も徐々に増えてきます。
こうなると国内工場の海外支援負荷はどんどんと高まっていきます。
生産機能の海外展開にも色々なパターンがあります。国内では試作のみ残し量産機能はすべて海外へ移転してしまう企業もありますし、上述のように廉価汎用品を海外で生産する場合もあります。しかし国内の生産量をある程度は絞り込むものの、やはり国内でも操業を続けるというのが主流のようです。さてこの場合、国内でも操業しているということは各部門の仕事はなくなってはいないということです。この状態で複数の海外生産拠点の支援に当たるというのは大変な負荷となります。担当者が海外のトラブルシューティング等で日本不在の状態の時に、今度は国内工場で問題が発生したら大変な問題となってしまいます。
そして最も重要なことは、新たな技術開発や技術研究が停滞してしまうということです。業種にもより一概には言えませんが、エレクトロニクス製品等は非常に製品のライフサイクルが短くなっています。海外を含めた競合他社が直ぐに新たな製品を市場に投入してきます。新技術開発は企業の生命線と言える重要な要素です。しかしこれが停滞してしまえば今日の競争に太刀打ちできなくなってしまいます。その上、技術力で海外工場よりもはるかに上でなければ、海外工場支援など出来なくなってしいます。どこの生産拠点よりもはるかに高い技術力や技能を持っていなければいけないということは重要です。
さて、何とか海外支援の高負荷状況を打破するため、技術者の育成や人員確保を行いたいところですが、問題があります。技術者は短期間では育成できないことと、新たな人材確保が大々的に行えないということです。
そもそも国内でこれ以上人件費をかけられないために人件費の安い海外で生産を行うわけですから、新たな人材確保という方向性は矛盾を来たすことになります。ここに各企業の葛藤があります。
では、海外支援の負荷を低減し、海外は海外で独自に工場を操業してもらえればと考えたくもなりますが、技術移転や技術指導が徹底されていないうちにこのような対応をしてしまえば、海外工場の技術力は高まらず、改善活動も進まなくなります。結果としては日々のトラブルが多発する、最悪の場合は不良品を大量に出荷してしまうということにもなりかねません。

ではどうすればよいのでしょうか。色々と打ち手は考えられます。
1.社内で分散した技術力を集中させ、ここで海外支援を包括的に行う
2.海外支援を行いながら、徐々に人材育成にも力を入れていく
3.国内の技術者も並行して育成していく(若干の増員もやむなしと経営トップが承認する)

今回は、製造現場に関わる生産技術面について書きましたが、間接部門や生産管理についてもまったく同様のことが言えます。しかしどのような技術や技能にしても適切でない技術や技能を指導してはいけません。私の経験で言いますと、生産管理に関する正しくない知識をそのまま教えているという企業がありました。教わる方はその知識の素人ですから、熟練者からそう教えられれば間違ったまま自分の知識や技術にしてしまいます。そもそも正しくない知識等をもう少しよりよくしようという改善など愚の骨頂でしかありません。
そのような意味でも国内の工場は一番でなくてはならないのです。
海外のさまざまなニーズを短期間に製品化する技術力、サプライチェーン上で日々発生する複雑さや問題へ全体最適の視点から取組む技術力、技術や知識を相手が腹落ちするように教えるスキルなど多岐にわたり一番を目指さなければなりません。
トップダウンで全社を挙げて取組むべき重要事項です。昨今は「グローバル人材」というキーワードが至るところで声高に言われていますが、私自身は今回のテーマの方がよっぽど重要と考える次第です。

みなさん、未来に向って叡智を出しましょう!!
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マクドナルドの戦略と経済
みなさん、こんにちは。

今年(2013年)の1月4日から始まったマクドナルドの「ENJOY 60秒サービス」はもう体験しましたか?
11時から14時までの時間帯で注文してから60秒を超えると好きなバーガー無料券がもらえるというものです。
遅ればせながら私も体験しに行って参りました。
会計を済ませたら砂時計がポンと置かれ時間を計ります。これは大変ユニークなサービスエンカウンタターだと思いました。
マクドナルドの原田社長によると、マクドナルドでは「レジが30秒短縮されれば、売り上げが5%伸び」て「商品提供までの時間を1秒短縮すると売上が8億円増える」そうです。
昨年の連結売上高がおよそ4000億円ですから、8億円とは0.2%に該当します。これを顧客数の比率にしてみれば、1,000人に2人になります。つまり、1秒短縮すれば1,000人中2人顧客が増加するという計算です。逆に考えれば1秒の遅れにより1,000人に2人は顧客を失うということになります。ここで重要なのは、1秒の遅れが2秒、3秒と大幅に遅延が重なってしまうことですね。バラツキというのも大変な問題です。中央値に該当するサービス提供者はまだ良いですが、外れ値の方に位置するお店では大きな損失を毎日生み出しているということになります。

このイベントは会社の売上にとって大変メリットがありますが、それ以外にも「現場力」を高める努力にも繫がるというメリットをもたらすものと考えます。それも自らがお客様に60秒と宣言した上での挑戦ですから、正に現場の力が試されることになります。納期を宣言する企業は他にもあります。アスクルなどもそうですね。しかしここまで厳しい納期宣言をするのはマクドナルド以外には見当たらないのではないでしょうか。

さて、このサービスは実は私たちお客にとってもメリットがあります。普通レジ待ちやレジ中というのは面白くない時間です。この点は以前にも別のテーマで指摘しました。レジ待ちやレジ中のお客は、とにかく「ムツッ」としています。しかし砂時計を出されることにより「間に合うかな、間に合わないかな」とこちらに気持ちが集中してしまい、「ムツッ」という感覚も減退してしまいます。しかも60秒を超えれば無料券がもらえてしまいます。私の場合、無料券にはさほど興味はないのですが、運良く(?)2~3秒ほど超過してしまいましたので、無料券を獲得しました。いや、たった2~3秒ぐらいいいのにと内心思ったのですが。
このような楽しい経験は話題を生みます。また口コミも生み出します。無料券でリピートの頻度が高くなる可能性も秘めています。実にうまい戦略と言えます。
しかし企業にとって重要な事は、この例でいえば「60秒で提供することを目的としてはいけない」ということではないでしょうか。これを目的としてしまうとと顧客への対応が雑になり、製品をつくることも雑になってしまいます。結果として不良品を失礼なプロセスで顧客に提供するという失態を生み出してしまいます。これではサービスしたはずが、逆に顧客満足度を低下させ、顧客が企業から離れて行くということに繫がる危険があります。現にネット上では雑につくられたハンバーガーで苦情があるとの情報もあります(少数だとは思いますが)。
この点を私たちは十分に注意し、マネジメント層であれば成員たちにきちんと理解させなければなりません。

ところで、マクドナルド繫がりというわけではないのですが、2011年頃に大変衝撃的な記事を読みました。アメリカのマクドナルドが5万人の求人を出した所、応募者がどのくらいあったと思いますか?4万人程度でしょうか。2倍の10万人でしょうか。実はなんと100万人の応募があったそうです。ブルームバーグの記事ですから間違いないと思います。
そこでアメリカの失業率と、株価を調べてみました。

アメリカ失業率_20130204

ダウ平均株価_20130204


つい先日も、アメリカの経済指標である雇用情勢の改善が確認されたということで、1万4000ドルの大台を突破したと伝えられていますが、果たして実態のある株高なのでしょうか。大変疑問に感じる次第です。

わたしたちは実態経済を支える製造企業にかかわりを持っています。株の値動きに右往左往することなく地に足をつけて地道な努力と研鑽を積み重ねて行かなければなりませんね。


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